『Run Rabbit Run』 トップページへ戻る
第12話:被疑者確保






(現実)
 もうすぐ日曜日が終わる。明日からまた仕事だ。今日は自作の生ラーメンを食った。 インスタントやカップ麺よりは美味かった。  そしてオレの近所にクソみたいに沢山溢れてる、クソらーめん屋より値段のことを考えるとウマかった。 5玉入って、たったの200円だ。少なくとも食ったあとキモチ悪くなるようなことはなかった。

そもそもオレはグルメなんかじゃないのに、なんで外食産業全般?に腹が立っているのだろう? 値段ばっかり高くて、美味いんだかマズイんだか解からないようなもん出して、帰る時にはキモチ悪くなるというオマケ付きだ! ただ、オレは普通のものを、普通の値段で普通に食いたいだけだ。サービス業といっても、やたらにデカイ声を出したり、 タバコを1本吸う度に灰皿を換えるのがサービスなのか?

昔、焼肉屋に行った時、若い男の店員がメニューを持ってきた。そいつは異常に丁寧な接客態度だったのだが、 体中から香水の臭いがしてきてキモチ悪かった。向かいの女が香水臭い、とか後ろの席のガキがウンコ臭い、 なら話は別だがアンタ従業員だろ? 接客態度なんてどーでもイイから、せめて食い物のニオイだけは変えないでくれ!と思った。
なんだか言ってることがあまりにもジジ臭いんでやめた、このハナシ…。まぁ、いつもの孤独な日曜日が終わるだけだ。 そもそも孤独はいけないことなのか?これも長くなりそーなので酒飲んで寝た。

(空中都市)

 相も変わらず、オレたち4人は現場にいた。
長谷川のアパートでの一件が気になったので、部屋のヌシに聞いてみた。

「オイ!あれから、どうしたんだよ?」

「やっちゃった」

と悪びれずに笑った。

「荒井もジャッキーもか?」

「いや、アイツら起きたらいなかった」

「そうか…」

そして仕事に取り掛かった。その間も長谷川は、ずーとニヤニヤしていた。
普段にも増して気持ちが悪かった。

「何笑ってんだよ?さっきから」

「いや、実はまだ居るんだよね」

「何が?」

「いやぁ、あの3人」

「3人って、あのチンピラとヤンキー娘か?」

なんでも2人組は家出中で、あのコワイオニーサンは、指名手配中でオマワリに追われてるらしい。 何をしでかしたのかは知らないが、トルエン売ってシャブ食らってりゃー、まぁ立派な犯罪者か?
昼メシを食い終わってしばらくした頃、現場にあの2人組が入って来た。

「大変なの!大変なの!」

と騒ぎ出した。

「あの人、自殺するって暴れてるの」

全く関心の無いオレ、荒井、ジァッキーは

「放っておきゃーイイじゃねーか、んなもん」
「さぁ、仕事、仕事」

と、それぞれの作業を始めた。すると長谷川が

「オレの!オレのプラモがー!」

叫んだ。ただならぬ様子を察知した親方が

「しょがねーな。オマエら、ちょっと見て来い!でも、すぐ帰ってこいよ!」

と言った。まぁ、これで仕事をサボる口実ができた訳だ、と一同ニヤリとした。

 長谷川のアパートに駆けつけると、そこは既に近所の野次馬で騒然としていた。その人だかりの中で、 あのコワイオニーサンは上半身ハダカで、筋彫りの龍をムキ出しにして、割れたガラス片で体をキズ付けていた。 ありゃー止めようねーな、とオレは思い、その野次馬に交ざってしばしその様子を観察した。
しばらくすると、柳沢慎吾がやるよーに“ウー”とサイレンを鳴らしたパトカーがやって来た。それに気付いて、 あのコワイオニーサンは家の塀をつたって、屋根の上によじ登った。大声を上げて喚きちらしていたが、内容は全く意味不明だった。
それを見て警察官も屋根の上に登った。そして屋根から屋根への追いかけっこが始まった。何軒目かに差し掛かったところで、 コワイオニーサンは足を滑らせて地面にアタマから落下して、ピクリとも動かなくなった。そこで下で待機していた他の警察官に、 あえなく御用となった。
部屋に行くと長谷川のプラモは、ひとつ残らず無残な姿でメチャクチャになっていた。 長谷川は、あまりのショックに声も出せず呆然としていた。 そんな長谷川を見かねたのか、荒井が声を掛けた。

「親方にはオレからテキトーに言っとくから、オマエ今日休めよ」

長谷川はコクリと肯いた。

 長谷川を残して、オレたち3人は現場に帰る途中だった。

「なんか、ちょっとかわいそうだったな」

「マァ、イインダヨ。アイツダケ、ヤレタンダロ?」

ジャッキーは言った。オレも荒井もそれで妙に納得した。
それから仕事が終わり、オレとジャッキーと荒井で、長谷川の様子を見に行った。酒とツマミでも買っていこうと言って、 酒屋で大安売りしていた魚肉ソーセージと、やはり安売りしていた缶チューハイを持っていった。 その後、長谷川の口から思わぬ提案が出されるとも知らずに…。

(現実)

 いやー疲れた、疲れた。今日もオレは働いた。(まだ3日目だけど…)
一緒に入った人が、車で送ってくれることになった。これで自転車の問題はめでたく解消された、バンザイ! いつかラーメンぐらい、ごちそうしなくては…。
仕事から帰って夜中に部屋でテレビを見ていると、そこそこ売れてる女の歌手が人生相談のようなものをしていた。 そして少しリスクをおかしてでも何事もやったほうがイイ! 人生は一度きり!なんて締め切り型の答えを無責任に言っていた。 となりのアシスタントもウンウン肯いていた。考えて見れば人生相談ほどアホな相談はないんじゃないのか? 例えば金貸してとか、手伝ってとか、コレやって、アレやって、とかならまだわかるのだが…。 他人に人生を相談してどーなるんだ?(しかもタレントなんかに)でも今のオレなら多分こう答えるだろう。

「そんなもん自分で考えてください。さもなきゃ、やめときな。上手くいかねーよ」と。

まぁ相談するほうとしては、やったほうがイイよ!きっと上手くいくよ!とか言われたくて相談するのかな? んー謎だ? オレもそれについて是非、相談したいなー…。それは質問か…。

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この物語について 作者について 携帯電話への配信申し込み
第1話:空中都市 第6話:新宿とタモリ 第11話:キャビアとオロC 第16話:田中と松田 第21話:一本でもニンジン
第2話:ポークソテー結婚式 第7話:どらえもんと妄想 第12話:被疑者確保 第17話:ライブハウス 第22話:おでんとホモ
第3話:死ね!アルゼ 第8話:長谷川とバスガイド 第13話:演説 第18話:打ち上げ 第23話:火星のキョンキョン
第4話:テレアポとボルト 第9話:クリスマス 第14話:客 第19話:ラブホとリベンジ 第24話:スタンガンでさらば
第5話:馬糞ウニとジャッキー 第10話:研修初日と演歌 第15話:ストーカーとオヤジ 第20話:エスカレート 第25話:ラン・ラビット・ラン