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第22話:おでんとホモ






 事務所を移動(夜逃げ)したことによって、仕事は激減した。(パソコンの復旧ができないし)更にキャバクラ三昧の豪遊がたたって、 金もすっかり底をついていた。
みんなそれぞれ昼は、マンガ喫茶、ボラ釣り、俳句を読む、などして細々と時間を潰した。そして夜は決まって安酒を煽って酒盛りとなった。

「あー!キャバクラ行きてー!」

「誰か働きなよ!」

「んじゃテメー働けよ! そういやージャッキー、おめー貯金あんだろ?」

「全部、国の家族に送金しちゃった」

と、責任の擦り合いと堂々巡りの中、1本の電話が『君が代』の着メロとともに、長谷川のケータイに掛かってきた。仕事の依頼らしかった。

「じゃ、明日の午後1時に…」

と、新しい事務所の住所を伝え、電話を切った。

「なんか女だったよ」

「どーせ、また冷やかしかなんかじゃねーの?」

「そんなもんあてになんねーから、長谷川、オメーまた現場戻れよ! あの親方に気に入られてたじゃねーか?」

「嫌だよ!絶対!」

長谷川は、強い口調で否定した。

「なんで?」

「だって、あのオヤジ、ホモだったんだよ!」

一同シーンとしてから

「まぁ、それ詳しく聞かせてよ」

とジャッキーが言った。そしてみんな身を乗り出した。

「みんなが辞めてから、オレしばらく親方と2人で現場やってただろう? んで仕事終わると必ずメシ連れてってくれて、 酒飲ましてくれるんだよ。オレも最初は単なる気のイイオヤジだなー、ぐらいに思ってて、タダ飯食えて、こりゃいいや! なんて思ってたんだー。とこらがどっこい、そーは問屋が卸さないって感じだったかな、やっぱし」

「ウルセー!さっさと話せ!」

「…。そんである晩、現場終わっておでん屋行って、そん時オレ調子に乗って飲みすぎちゃってさぁ。 大根食ってるとこまでは、なんとなく覚えてるんだけど…。こう、なんてゆーか…。っつーか、 黄色いカラシがピリッと効いて、ダシを思う存分吸ったホクホクの…」

「テメー!ぶっ殺すぞ!」

「あっ、ごめん。んで目覚めたら、変な紫色の部屋に全裸でいたんだよ。ベッドもカーテンも壁も全部紫。笑うでしょ? んで、どーやらそこがジジイのアパートらしくてさぁ。そんでジジイ、変なSMのメガネみたいのあるじゃん?あれ掛けて (マイ・スィート・ハニー)とか言って、サルマタ一丁で鼻息荒くして体擦りつけてんだよ!オレにっ! オレびびってジジイ、 ハリ倒して財布盗って服掴んでソッコー逃げてきたよ…」

「んでオマエやられたの?」

「それが自分でもよくわかんないんだよなぁ…」

「ケツ、どーよ?」

「別に普通だよ!」

という興味深い話も終わり、例によってみんな酔い潰れ、眠りこけてしまった。

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この物語について 作者について 携帯電話への配信申し込み
第1話:空中都市 第6話:新宿とタモリ 第11話:キャビアとオロC 第16話:田中と松田 第21話:一本でもニンジン
第2話:ポークソテー結婚式 第7話:どらえもんと妄想 第12話:被疑者確保 第17話:ライブハウス 第22話:おでんとホモ
第3話:死ね!アルゼ 第8話:長谷川とバスガイド 第13話:演説 第18話:打ち上げ 第23話:火星のキョンキョン
第4話:テレアポとボルト 第9話:クリスマス 第14話:客 第19話:ラブホとリベンジ 第24話:スタンガンでさらば
第5話:馬糞ウニとジャッキー 第10話:研修初日と演歌 第15話:ストーカーとオヤジ 第20話:エスカレート 第25話:ラン・ラビット・ラン